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肉屋の儲けの仕組みとは?肉屋の原価計算の授業

肉屋の原価計算

いらっしゃいませ。

今回はみんなが気になるお金の話。肉屋の儲けについて赤裸々にお話ししようと思います。

なんでこんなことを話そうと思ったか、と言うとですね、いつも僕が投稿してるtiktok動画のコメントを見てて、肉屋は儲かる!みたいなことをよく書かれてわけです。

それで、あぁ、そうかと。肉屋って凄い儲かってるイメージを持たれてるのかと。

それなら、そのイメージをちょっと払拭してみようかなと思ったわけです。

肉って高価なものだから、さぞや儲かってるんだろうな〜とお思いの方がいればぜひ最後までお付き合いください。

あと、肉関係の仕事を初めたいって方もぜひ聞いてみてください。もしかしたら、始めるのやめとこ、、ってなるかもしれませんが。。

じゃあ、実際肉屋は儲かるのか?そして、うちの店ではどんなふうにして儲けをだしてるのかの一部をお話しします。

肉屋は儲かる?

まず結論からいくんですが、儲かりまくるってことは無いです。

具体的な数字を言っちゃうと、粗利益率は、店によって違いますが、だいたい30パーセントくらいです。

百貨店とか駅ビルに入ってるような精肉店はテナント料、いわゆる家賃で10%くらいもっていかれるので、その分粗利益率は上がってます。

どうですかね?この粗利30%って聞いて、めっちゃいいじゃんってなりますか?

ちなみに、この数字を言うと、和牛とかは値段が高いから、30%でも儲かるよね、と思われそうですが、それに関しては後でお話しします。

この30%っていう利益率から分かるように、肉屋は利益率の高いの業種ではないです。

どんな職でもそうだと思いますが、ライバルも多い中ただ肉切って売ってれば儲かるってことはないんですね。

よく、YouTubeのコメントで肉屋か焼肉屋やりたいっていただくんですが、肉切れるだけじゃ肉業界は無理ってことだけは、前もって言わせて欲しいです。

それが何で無理なのか?実際どうやって儲けをだしているのかお話しします。

まず肉屋って、イメージ的には職人とか技術職みたいなもんだと思ってる方多いと思います。

で、そういう人って包丁持って肉捌いてなんぼの世界で、あんまり会計とか利益計算が得意そうってイメージはないですよね?

でも実際の肉屋は、自分でお店を持つなら、という話にはなりますが、包丁も経理もプロじゃないとやっていけないです。

「値段設定どうしよっかな〜、とりあえず100g500円くらいでいいんじゃない?」みたいなのでは絶対無理です。

単純な考えでやれるほど、肉屋は甘くないんです。

僕が何かの価格を決めるときは、「仕入れが300円なら、歩留まりと、相乗積で計算して、売値はこれくらいにしたいけど、競合店はあの値段でやってるから、さすがに厳しいな。ここは価格を抑えて、他の部位で手間加えて合計で利益取れるようにしよう」

みたいなことを、考えて決定してます。

ちょっと意味の分かりづらい単語がでてきたかもですが、簡単に説明します。

どこかの授業チックになるんでちょっと申し訳ないんですが、ついてきてもらえると嬉しいです。

まず、肉って言うのは、例えば、単純に仕入れ原価700円の肉に利益300円をのっけて1000円で販売するっていうのは出来ないです。

ここで大事なのが歩留まりっていう言葉なんですが、これは簡単に言うと、

一つの肉の塊からどれだけ、食べることのできる部分がとれるか」を表した割合のことです。

まだちょっと分かりにくいですね。

具体的な話をします。

10kgの大きな肉の塊には脂とかスジや血汚れみたいな、削れないといけない部分があるんですね。

そこで、そういったものを取り除いて10kgの塊が7kgになったとします。そうすると、それは歩留が70%ですよって言うことができるわけです。

脂とか筋は食べることが出来るんですが、今回は分かりやすくするためにちょっと除外しますね。

で、この歩留っていうものを基準に値段を決めるのが大事になってきます。

さっきの例で言うと700円で仕入れた肉の塊に歩留を計算すると原価が1000円になります。

そして、その原価をもとに利益率30%をだすために1400円程で販売しようってなるわけです。

最初の予定通り1000円で売ってたら利益無し、でしたね。それくらい歩留の計算って大事なんです。

で、次に大事なのがさっき僕がチラッと言った相乗積ってやつです。

はい、専門用語ばっかり使って分かりづらいですよね。

これも、なるべく分かりやすく簡潔に言うと、いろんな値段の商品があるけど、それらを組み合わせて、全体で利益をとろうよ、っていう考え方のもとになる計算式のことです。

正確には値入れミックスとか、粗利ミックスって言われることが多いですね。

これも例をだすと、牛肉のステーキではあんまり利益は取らないけど、豚肉の切り落としとかミンチ肉で少しずつ利益をとっていけば、トータルで見たときにそれなりに利益が出るよねっていうものです。

利益率と利益額

値入れミックスの話とはちょっとズレるかもですが、今ちょっと触れたんで、肉の利益率の話をします。利益「額」じゃなくてパーセンテージの利益「率」ですのでご注意を。。

実は牛肉って高価な割りに利益率っていう面で見ると案外低かったりします。

それに比べて豚肉とか鶏肉は利益率が牛肉より高くなってることが多いですね。

だいたいなんですが、牛肉で利益率20%くらい、豚や鶏肉で30から35%くらいでしょうか。

もちろんこの数字はお店のやり方で変わってくるんで、参考程度にしておいてください。

えー牛肉って儲からないの?って思った方はちょっと待ってください。

何で牛肉はそんなに利益率が低いかっていうと単純な話で、

牛肉って豚肉とか鶏肉に比べて値段が高いですよね?

それだったら、利益率が低くても、値段が高い分、同じ豚肉や鶏肉を同じ数量売ったときと比べても、実際入ってくる利益の額はそれなりにあるよねって話です。

はい、言葉だけじゃ分かりいですね。

500円の豚肉が利益率30%で150円の儲けがでたとします。一方で1000円の牛肉は利益率20%で200円儲かるとしたら、利益率が低くてもOKじゃない?って感じです。

ただですね、これを聞いて「ふーん、じゃあ利益率が低くても、結局儲かるんなら、牛肉ばっかり売ればいいじゃん」って思うかもですが、落とし穴です。

もう一つ大事なのが販売量です。

豚肉とか鶏肉って安価な分、普段よく食べますよね?普段よく食べるって言うことはそれだけ、牛肉とかと比べてよく売れるんです。

チリも積もれば山となる、と言うと語弊があるかもですが、それと同じような感覚で一つ一つの利益額が小さくても、牛肉と同じくらい、むしろそれよりたくさんの儲けがでるのが豚肉や鶏肉なんです。

こういうお肉の利益率とか、販売量を組み合わせてトータルで利益を出すのが大事なんですね、これが値入れミックスっていうものです。

世の中の肉屋とかスーパーの精肉部門は日々こういう計算にいそしんでいます。

部位別の原価計算

でも世の中には牛肉専門店もあるじゃん、と、そういう店はどうなってんの?と思われかもしれません。

もちろんそういうお店もあります。実際僕が修行した店舗もそうでした。

そういうお店はやっぱり牛肉専門店としてのブランドを築いてるからこそ可能なことではあるんですが、そこでもやっぱりシビアな利益管理がされています。

これもどんなふうにやってるか、仕組みを言います。

牛肉専門店はお肉の部位と、商品化の組み合わせで儲けを出しています。

牛肉っていうのは、いろんな部位がありますよね。

マグロとかと同じで、大トロ、中トロ、赤身みたいに、ロース、バラ、肩、もも、ヒレといった感じでたくさんの部位があります。

さらに、もも肉なら、シンタマ、内モモ、外モモ、ランイチっていう4つの部位に分かれます。

さらにさらに、このシンタマは、ともさんかく、まるしん、かめのこ、まるかわと分かれます。

これだけバラバラになる色んな部位を、味、食感の違いに合わせて商品化するわけです。

ここで大事なのが、はいまたでてきました。歩留と値入れミックスです。

歩留まりの考え方はさっきと全く同じなんで省略しますね。

値入れミックスに関しては、さっき牛肉、豚肉、鶏肉を例にだして話しましたが、それが部位別になっただけで、やり方は同じです。

牛豚鶏の組み合わせで儲けを出すように、部位ごとの組み合わせで儲けを出すんです。

例えば、トモサンカクは霜降りがたくさん入って見栄えもいいから価格を高くするけど、カメノコはちょっと硬いから安くしようって感じです。

さらに、トモサンカクの中でも、しっかり形の良いところはステーキで値段をとって、そうじゃない部分は焼肉カットで価格をおさえようみたいな話もでてきます。

もうやめてくれ、意味が分からない!と思われそうですが、たたみかけます。

今はシンタマだけの例で言いましたが、さっきも言いましたよね、シンタマはモモ肉の一部です。

シンタマを仕入れようとするとモモ肉セットって言って、だいたい他のランイチや、うちモモ、そとももといった4つの部位を全部仕入れないといけなかったりします。

その4つの部位でもそれぞれ価値が違うので、仮に1kg3500円でモモ肉セットを仕入れても、相乗積ってやつで計算するとランイチとシンタマは3500円よりちょっと高くて、内モモと外モモはちょっと安くなります。

なんなら一頭買いで仕入れてるとこなんかは、一頭からとれる全部の部位に対して、そんな分けのわからん計算をあてはめてやってます。

これだけたたみかけられると、儲かる儲からない以前の話しで、ちょっと意味が分からないですよね。

それじゃあ、こんな偉そうに言ってるあなたは本当にこんな計算をして日々やってるんですかという話です。

うちではどうやってるのか?
僕は実際、一頭買いで一人で任されてやってる時は、自分で作ったスプレッドシートに肉を仕入れるたびに毎回数字を入力して原価計算したうえで利益管理をしていました。

で、今はどうしてるかと言うと、牛肉なら、ある程度部位をしぼって仕入れて利益管理をやりやすいようにしています。

一人で肉を管理してる分には、何とかなるんですが、そうもいかないのと、ロス軽減にも繋がるんで、そのやり方をとっています。

ただ、今でも一頭で買うことも無くはないです。

うちの店ではだいたいこんな感じでやってて、色々簡略化してるように思われるかもですが、さっきから言ってるような、ややこしい利益管理も、前提知識として日々の仕事に取り入れてます。

はい、ここまで長々と、肉屋の儲けの話をしてきましたが、どうでしょうか?

肉屋は儲かりそうでしょうか?

たぶんこの話を聞く前と聞いた後で肉屋のイメージが少し変わった方もいると思います。

最初の方に言ったことに戻るんですが、肉屋の人間は肉を切れて一人前じゃなくて、その先の利益管理まで出来て一人前だと僕は考えてます。

適切な利益をだすことは、お店の繁盛にとって大事ですし、結局は買ってくれる人の利益にもつながりますからね。

今回、なるべく分かりやすくするために、かなり省略した部分があるので、わかってる方からすれば、突っ込みどころも多いかと思いますがご容赦ください。

では、今回はこんなところで失礼します。

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