肉の資格ってあるの?
いらっしゃいませ。
今回は肉に関する資格についてお話します。
YouTubeに動画を投稿していると、こんな質問をいただくことがよくあります。
「肉屋になるのに何か資格が必要ですか?」
結論から言うと特別な資格は必要ありません。
しいて言うなら、肉屋に限らず食品を扱ううえで不可欠な資格である
「食品衛生責任者」くらいでしょうか。
もちろん食肉販売許可や、惣菜製造業などの施設に対して必要な許可はあります。
が、「人」に対して求められる資格は先ほどの「食品衛生責任者」くらいです。
ただ「食品衛生責任者」も「肉屋の資格」ではないので、肉を扱う職業固有の絶対条件になる資格というものは存在しません。
ここまで言うと、今回の話は終わりになってしまうのですが、これだと味気ないので日本にある肉の資格について一部を紹介します。
肉の資格
さっき肉の資格は必要無いって言ったのに、日本にある肉の資格を紹介するってどういうこと?
とお思いになるかもですが、法律的に必要な国家資格みたいなものは無いにしても、いくつかの団体が公表している資格が存在します。
例えば、全国食肉学校が発表している「食肉販売技術管理士」。
全国食肉検定委員会からは「お肉博士」。
日本安全食料料理協会が出す「お肉ソムリエ」。
これらが肉の資格として比較的有名なものになります。
それぞれ取得するには検定が必要になり、その取得難易度は異なりますが、取得が容易なものもあります。
で、こういう資格を持ってると何が凄いのか?
それは肉に対する知識です。
資格の価値
知識というのは僕が普段YouTubeやブログで言っているような、肉の部位や衛生に対する知識みたいなものです。
普通は知りえないお肉の知識を上記の有資格者達は持ち合わせています。
ただし、それはあくまで知識です。
資格取得の性質上、肉を扱う技量はほぼ問われません。
知識と技術の両方を持ち合わせてこその肉のプロですから、肉の有資格者=プロという構図にはならないのが上に挙げた肉の資格の現状だと思ってます。
僕自身「食肉販売技術管理士」の資格を持っていますが、今の肉屋としての核は実務で得た知識と技術が9割です。
経験値こそが最大の武器
どんな職業でも、資格そのものより実務の中で得た経験から成る実力が大事だと思います。
それは肉業界でも同じです。
最も大事なのはとにかく肉を扱ってきた経験値です。
おそらく多くの同業者が同意してくれると思います。
それでも今後、肉の資格認定に技量検定なんてものが加われば、また話は変わってくるかもしれませんね。
食品衛生管理者について
ここで一つ余談になるかもしれませんが、一つだけ肉を扱ううえで格の違う印象を受ける資格があります。
精肉を扱ううえで必須では無いのであえて触れませんでしたが、最後に少しだけ語らせてください。
特定加熱食肉製品(ローストビーフや焼豚、ハム、ソーセージ等)を製造して販売するには「食品衛生管理者」の資格が絶対必要です。
正しくは、食品衛生管理者が常駐したうえで食肉製品製造業の許可を得ることが必要、になります。
お肉を切って販売するだけなら、誰でも取得できる食品衛生責任者の資格だけで事足りますが、一部の肉製品を作って販売しようとするとその限りではないんです。
この食品衛生管理者の資格は取得条件が厳しく、取得を断念する人が多いです。
具体的な取得条件は、医師免許の所持や大学の特定の課程修了、実務経験であったり等です。
その中の一つでもクリアすれば、講習を受ける権利を得ることが出来ますが、その前提条件が一部の人にしかクリア出来ないので、断念する人を増やしています。
取得するのに、それなりに難しい資格ですが、これが無いと一部商品は製造販売が出来ないので、要注意ですね。
最後に
今回はお肉の資格についてお話しさせていただきました。
一部商品の販売には絶対必要な資格があるものの、肉屋にとって大事なのは肩書ではなく、実際の仕事の中で得た知識と技術です。
もちろんそこにはお客様とのコミュニケーションスキルも入ってきます。
どんな仕事でもそうですが、この肉業界でも経験値が肝心という例外からは漏れないということですね。
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